Aug 21, 2011

2011 J LEAGUE DIVISION 1 第22節 「ターニングポイント」

清水エスパルス戦 会場:アウトソーシングスタジアム日本平
スコア:3-3 【前半:0-1 後半:3-2】
得点者:播戸3(PK1)
日程変更により9節の鹿島アントラーズ戦が水曜日に行われ中2日で清水エスパルス戦に挑むセレッソ。毎シーズンお得意様として勝ち点を見込んでいた鹿島から今シーズンは勝ち点を1点も奪えず、8月の鹿島、清水、横浜FM、浦和の4戦で2勝1分け1敗くらいの成績で9月を迎えることが出来れば随分楽にはなると思っていたが計算が狂う。

前節の鹿島戦ではマルチネスが怪我により不在。代役として抜擢されたのは入団2年目、下部組織上がりのタカ。茂庭マンの退場によりCBもこなしユーティリティプレーヤーっぷりを発揮。またこの試合では塁も負傷退場となり移籍、怪我、累積警告による出場停止とメンバーをかなり欠く中で清水戦に挑むセレッソ。この試合、タカと健勇が恐らくスタメン出場と読み、残留争いから中位へのステップアップ、来シーズン以降のチームへの布石になる試合だという判断の元、体調が優れなかったがここは行かないといけない試合ということで急遽清水行きを決意。

スタメンは茂庭マンのポジションにタカ、ボランチにはボギョンと康太。途中加入のファビオロペスが3シャドーの一角に入り、1トップには健勇が。試合前の予想では茂庭のポジションに康太、ボランチはタカと中さん。3シャドーにキヨ、ボギョン、秋と思っていたが、クルピは中さんを外す選択。連戦が続く中疲労回復的な意味でのサブか?開幕当初はチームにフィットしていなかった中さんであったが、アウェイでの神戸戦、ホームでの鹿島戦と中さんを下げてから中盤のバランスが崩れバイタルエリアを自由に使われていたので、中さんを外すことは考えられなかったが…そもそも康太とタカのポジションは逆だろうに(汗)


立ち上がりスロースタートなセレッソはボールマンへのプレッシャーが甘く清水の攻勢を受ける。小野、高原のベテランコンビのパス交換からサイドで高木に簡単に突破されるシーンが再三見受けられると、前半8分右サイドでフリーでボールを受けた大前のアーリークロスに対し、ニアに高原が入るとその後ろのスペースに小野が2列目から飛び込まれる。枚数は足りていたもののマークが甘くなったところを小野に頭で合わされ先制点を奪われる。先手を取りたい試合に於いて早い時間帯での失点だけは避けたいところではあったが…

その後も清水ペースで試合は動きマルチネス不在のセレッソは普段のゲームメイクを彼に任せ過ぎていることもあって攻撃が組み立てられない。バックラインでのパス回しにプレッシャーをかけられサイドに逃げるも不用意なパスミスとボールロストを繰り返しリズムを作れない。追加点を奪われることだけは避けたい展開ではあったが、清水も不安定なところがあり徐々にペースダウン。これはセレッソにとっては助かった。セレッソの攻撃は直接FKでマルが遠い距離から狙ったシュートがクロスバーに当たったり、流れの中でのミドルシュートと単発の攻撃しかなかったがいつものパスワークが機能しない中、まだ惜しいシーンが作れていたことをプラスに捉えるしかない前半だった。

0-1で折り返したハーフタイム、正直大敗も覚悟したが後半からはタカをボランチに康太をCBにポジションを入れ替える。前半からこの布陣にしておけば良かったと思った人は多かったはず(汗)また前半は前線まで良い形でボールが繋がらなかったこともあるがほとんど存在感を示すことが出来なかった健勇が、後半はボールへ顔を出すようになり始め楔のボールが入り始める。前半からもう少しこういった動きをして欲しいと思っていただけに、恐らくハーフタイムにクルピから指示があったのかと思われる。

健勇が楔を受けるようになるとシンプルにサイドに叩き、前半よりも簡単にアタッキングサードへ侵入。すると前半とは打って変わって試合はセレッソの流れ。オフサイドにはなったものの清水のDFラインの裏に抜け出しチャンスを演出する場面もあり、徐々に健勇らしさが見られるように。スコアが動かない中ベンチにも動きが。健勇が交代直前には右サイドからのクロスに対し絶好のチャンスを迎えるが、ヘッドはゴールマウスを捉えない…

後半28分ここで健勇の役目は終了。健勇に代わってベテランの播さんが投入される。U-18時代の健勇を見ていて試合で緊張とかするようなタイプには思えなかったが、トップチームでの初スタメンということで彼なりにプレッシャーを感じていたのかもしれない。チーム状況がこういった中ですぐに結果を求められるのはプロとして仕方のないことであるとは思うが、もう2、3試合こなせばチームにフィットする可能性を個人的には感じた。これからの選手、どこまで我慢できるのかというチーム事情との兼ね合いもあるが、温かく見守る寛容な心をサポーターには持ってもらいたい気もする。

残り時間は17分。この時間に投入された播さんの役割はシンプル。ただゴールを挙げるだけ。ここ数試合あまり試合出場の無かった播さんだが、クルピはベテランのゴールへの嗅覚に賭ける。

すると交代直後の後半31分。ぺナエリア内で播さんがボスナーに倒されるとPKを獲得。自分達の目の前で起こったファールだったので正直ラッキーな感もあったが、ボスナーが播さんの体を引っ張り倒したことを考えると笛を吹く審判がいてもおかしくはないか。このPKを播さんが決め試合を振り出しに戻す!!交代直後起用に応えたベテランの一撃で流れを完全に掴むと、その直後の32分には左サイドからのクロスに対しニアで相手DFの前に入ると頭で合わせ逆転のゴール!!!クロスの精度も良かったが、あのシーン相手DFのお粗末な対応があったとはいえココというところで得点を挙げる播さんの嗅覚にゴール裏が盛り上がる。

この後の時間帯が非常に重要。ホームでのダービーでもそうだったように得点直後の失点が多いだけに一度しっかりとリセットしてポゼッションしたいところではあったが、逆転の3分後にはぺナエリア外を横にドリブルする高木に対しマークが甘くなりミドルシュートを放たれると同点に追い付かれる。この時間帯、茂庭マンがいてくれたら…と思わせるセレッソには試合の流れを読むリーダーが居ないように思うのは私だけではないのでは?下部組織の試合を観ていても思うことがあるが、こういった展開勢いに任せてやってしまうのもひとつだが、敢えてペースダウンさせてしまい落ち着いた試合展開に持っていけるような意思統一、またはそういうことの出来るリーダーが必要だと思わされた瞬間だった。

残り時間は10分。ここまで来たら最後まで殴り合い勝ち点3を持って帰るしかない。ゴール裏はそういう雰囲気だった。アウェイでの連戦が続く中ここでの勝ち点3と1では大きな違いがある。互いにスペースが生まれオープンな展開になっていたことっもあってチャンスが訪れる。すると後半42分、ドリブルで中央へ仕掛けたキヨがマークを2枚引き付けると左サイドでオーバーラップしていたマルへパスでも良かったが、相手DFがキヨに気を取られていると見るやスペースを狙っていた播さんへスルーパス。一瞬オフサイドかと思われたが太田が残ってくれていたお陰でオンサイドに。パスを受けた播さんがキーパーを交わしゴールへ流し込むと再びリード!!!!

播さん投入のタイミングでボギョンに代えて螢を投入していたセレッソの残りの交代枠は1枚。この時点で3シャドーを1枚削って聖仁を入れてバイタルを埋めるなり、オマティーを入れて形振り構わず5バックにするなり死に物狂いで勝ち点3を獲りにいくくらい泥臭くいっても良かったように思ったけど…直後に再び清水の早いカウンターから逆サイドに走り込んでいた高原にヘッドで決められ3-3に(汗)

アディショナルタイムにはフィジカル的にかなりキツそうだったキヨちゃんに代えてオマティーを投入。最初は村田くんを準備させていたようだけど、清水のCKというシーンだったので高さ対策としてオマティーに変更した模様。アディショナルタイムに入っていたので時間稼ぎというのもあったとは思うが。

前半のデキを考えると引き分けでも御の字という結果かもしれないが、2度のリードを奪っていながら追い付かれるというのはチームとしての共通意識の乏しさという点で課題であるのも事実。実際に後半はある程度セレッソの時間帯が長かっただけに、きっちり勝ち点3を奪わなければいけない試合だったように思う。


この日、播さんの活躍を見て若手が何を感じたか。若いチームであるが故の脆さがあるとは思うが、裏を返せばこれから良くなっていく可能性があるということ。下部組織出身の若手選手、と昨年移籍してきた中堅・ベテラン選手。なかなか上手い具合に経験を継承出来てこなかったチームではあるが、今はそれが出来るチームだと思っている。J2に落ちてしまっては話にならないがこの可能性に対しワクワク感を抱かずにはいられない。


そう言えば、高原がこの試合に岩手からサッカー部?の子供たちを招待していた。自腹を切ってこういった行動をおこせるというのって素晴らしいなと感じた一戦でもありました。


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